最近読んだのは
田沼スポーツ包丁部! 秋川滝美著
キャンプ・バーベキュー・フィッシング―
学生時代包丁部だった新入営業部員が
助けてくれる完璧な先輩と
ハチャメチャな先輩の中で奮闘する。
就職した会社で希望の部署に配属されないのは良くある話。
それでも真っ直ぐ努力するから先輩もじっくり付き合ってくれる。
そこから始まるアウトドアクッキングが包丁部に発展し、野外飯に目覚める!
イベント仕切ったり、想定外の事態に対応したり。
相変わらず巻き込まれてるけど成長ぶりも素晴らしい。
壁抜けの男の謎 有栖川有栖著
短編集
いつもながらその誠実な記述に惚れ惚れ。
ショートショートとミステリは
どちらも謎がスパッと解明された(落とされた)時の醍醐味が堪らない。
短編&ショートショート集。
有栖川さんの小説を読むと平常心になれる。と
言った友がいる。
どんな話でも。私にとっての癒しと。
なるほど。なるほど。
蜜蜂と遠雷 恩田陸著
再読。
2017年、直木賞と本屋大賞の2冠
という快挙を成し遂げた国際ピアノコンクールを舞台にした作品。
「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」
というジンクスをもつ国際ピアノコンクール。
軸となるのは、4人の若き天才ピアニストたち。
天才少女と騒がれながら消息不明となっていた亜夜。
テクニックの巧さとルックスの良さから「王子」と呼ばれるマサル。
年齢制限ギリギリで妻子もいるサラリーマンの明石。
そして高名なピアニストの推薦によって彗星のごとく現われた塵。
あまりクラシック音楽に詳しくないけれど
それでも本書を読めばその音楽の意味するところ、
演奏者の意図や思いが伝わってくるような気がして、
文庫本にして八百ページ以上ある文章量もあっという間に読んでしまう。
塵は蜜蜂の羽音を何度も聞いていて、それは世界を祝福する音だといっている。
ラスト、塵=ミュージック(音楽)だとしていて、
ここでは塵=蜜蜂と置き換えることが出来ます
ホフマンのいっていた『ギフト』の意味をようやく理解します。
塵の才能を起爆剤として、他の才能を秘めた天才たちを弾けさせたのだと。
塵は『厄災』などではなく、間違いなく『ギフト』です。
塵は一人で耳を澄ませます。
世界は音楽で満ちていました。
彼は世界を祝福する音の聞こえる場所に帰らなければならないと思い、
駆けだします。
少年は、ミュージックです。
彼の動きひとつひとつが音であり、音楽が駆けていきます。
音楽、ならぬ小説は素晴らしい。
映画化され、亜夜(松岡茉優)。
高島明石(松坂桃李)。
マサル(森崎ウィン)。
風間塵(鈴鹿央士)
熱い“戦い”を経て、互いに刺激し合い、葛藤し、
成長を遂げ<覚醒>していく4人―。
その先に待ち受ける運命。
また読みたくなるな、きっと。
黒い森 折原一著
駆け落ちする二人の恋人に、同じ内容のメールが届いた。
行き先は、樹海の奥。
ツアー客が一人、また一人と樹海の闇に消えてゆく中、
目的地へ辿り着けるのか?
そして山荘の固く閉ざされた一室で待つものとは…
事件を二面から、本も表から裏からそして中も読むという新しい試み。
表から読むと樹里のツアーの様子(生存者)
本を逆さまにして裏から読むと留美夫のツアーの様子(殺人者)
真ん中は袋とじになっていて
二人が目的地の山荘の206号室であった様子(解決編)
非常に凝った初めて見る本の体裁になっていた。
読み終えた感想は、なんか心中おだやかではない。
赤い森 折原一著
再びの樹海に誘われて、黒い森に続いて赤い森へ。
ただひたすらジメジメと昏い森を彷徨う追体験。
不毛な迷路に時間を費やした気にもなるが、
何故か癖になって次作があったらまた手に取ってしまいそう。
誰も居ないことが怖かったのに、
気付いたら、誰かが居ることのほうが怖くなっていく。
現実ならまだいいのかもしれない、
もしこれが幻想なら永遠に出られないのだから。
民宿でご主人から聞いた実話恐怖話に興味を惹かれ、
若者達は樹海の山荘を目指す。
彼等の人間関係といい、
たどり着いた山荘での恐怖体験・悲劇は、
別の好奇心旺盛なグループでも繰り返される。
暗闇で手斧が空気を切り裂く音、首の無い死体…。
森の山荘に鬼頭夫妻が閉じ込められている限り
この人間狩りは続いてしまう(´Д`)ハァ…
今回もあっという間に読み終えました。